無名異焼は、新潟県佐渡島で約200年にわたって焼き継がれてきた、伝統的な陶器です。
その起源は文政2年(1819年)、佐渡金山の坑内で採れる赤褐色の鉱物「無名異(むみょうい)」を用いて、伊藤甚平が楽焼を製造したことに始まります。やがて安政4年(1857年)には、伊藤富太郎が無名異を用いた本焼を開始し、無名異焼の礎を築きました。
明治期には、初代・三浦常山や初代・伊藤赤水らが、当時もろく壊れやすかった無名異焼の品質を改良。中国・宜興の朱泥焼に倣い、高火度で焼成する堅牢な陶器へと進化させました。
こうした取り組みにより、無名異焼は芸術性の高い美術工芸品としても評価されるようになっていきます。
無名異焼は佐渡各地で発展を遂げ、2003年には「重要無形文化財」に指定。さらに2024年には、佐渡島の金山の世界遺産登録に合わせて、経済産業大臣より「伝統的工芸品」にも新たに認定されました。これにより、後継者の育成や需要の開拓、産地の振興に向けた支援も期待されています。
現在も佐渡の職人たちの手により、無名異土の特性を活かした器づくりが続けられており、伝統と革新が共存する工芸として受け継がれています。